紅の拳銃 1961年2月 礼子21才
笹森礼子/石岡菊代
赤木圭一郎/中田克巳
白木マリ/牧野千加子
垂水悟郎/石岡国四郎
これは良かった。赤木、礼子の中でも今までて一番かもしれなかった。出だしか半分くらいまでは世界レベルでイイ感じだった。
最初は垂水悟郎が殺し屋にする男を探すところから始まる。ナイトクラブで赤木を見つけてスカウトして拳銃の講義から始まる。ここで日活にしては珍しく銃についてリアルな話をする。ワルサーP38とコルトM1917について語っておりモデルガンもリアルなやつを使っている。
赤木用として渡されるコルトM1917
垂水悟郎の家で銃の扱いの練習するのだが妹が笹森礼子で病気で盲目になっている。しかし神戸の名医の手術を受ければ治るかもということで笹森礼子の目も伏線になっている。垂水悟郎も以前の戦いで右腕が動かなくなってて左手だけでカレー作ったりしててこの辺もなかなかヘビーな設定だ。
初見え時の礼子の視線がおかしいのでなにかあるなと感じる。
盲目の礼子が入れてくれるコーヒーが尊いぜ。
垂水悟郎はもと陸軍軍人で軍時代の中隊長で今は組織のボスの芦田伸介から仕事を貰っている。本命の神戸の大ボスを消す前に小手調べとして神戸のボスの女の白木マリ(逃亡中)を片付けろと言われるのだが赤木はヤらずに神戸に連れて行ってしまう。僕はコラテラルみたいなころしやハードボイルドを期待してたのだがなぜか赤木はころさない。「え、これじゃいつもの日活アクションじゃん」と段々半分くらいから面白くなくなってきた。しかしそれにも理由があってラスト10分間くらいで判る。(でもそうなると途中の吉行和子との回想シーンの整合がつかないのだが)まあこの辺は観てみて下さい。途中ボスのさらにボスのとか目まぐるしいどんでん返しがある。その中にあっても藤村有弘はいつもと変わらず怪しい中国人なのであった。
最後目が見えるようになった礼子が東京へ帰る電車の中でこの列車に赤木がいると思って探していると赤木と出会うのだが、声はわかるけど顔はわからない礼子が赤木を見て「この人かしら?」とか思うところは名シーンだ。結局赤木は知らんぷりしてしまうのであるが。
この映画、画質も申し分なくぜひ見て欲しい。
海の情事に賭けろ 1960年9月 礼子 20才
笹森礼子/殿村杏子
赤木圭一郎/栗谷剛一・加東勇二(二役)
中原早苗/牧蘭子
南田洋子/河村百合子
主人公の赤木圭一郎は実は双子で養子にだされた双子の弟がグレて生命を狙われるが間違えて兄のほうが狙われ、船から海に飛び込んで逃れる。そこへお嬢様中原早苗の家の所有するヨットが通りがかり、赤木は救出される。双子のおとうとの存在知らない兄の謎解きが始まる。話は中原早苗、南田洋子との絡みで進んでいく。
ジャケ写の水着姿は中原早苗のものであった。(まあ、そういう役ですよねー)
珍しく高品格がボス役である。
柔道が得意な赤木の投げ技を生かしたアクション。
笹森礼子は出てくるのだが大学生役の赤木圭一郎の下宿屋の娘の役で赤木の部屋を掃除したりする少しの出番しかなかった。
それでもパッチリした目は少女漫画のヒロインのようである。
笹森礼子が赤木の部屋を掃除してるところへ中原早苗が訪ねてきて礼子を見つけてライバル視する。赤木は潜入捜査で南田洋子(双子の弟の恋人)のキャバレー(やくざのアジト)へ出払っていて拘束されていない。中原早苗は赤木が読んでいる詩集をパラパラとめくるとそこに「RAN」と赤いペンでかかれたところを見つける(役名が蘭)ととたんに機嫌がよくなって礼子に「お掃除手伝いましょうか?」と勝ったといわんばかりの満面の笑みで言う。
礼子は「結構です」と断り、早苗は「赤木がいないならつまらないから」と帰る。早苗が帰ったあと礼子は赤が映った写真立てをひっくり返してうなだれる
この辺の女同士のやりとり、恋の駆け引きがうおおおっと情にきます。(この辺の描写は原作からあるのだろうか。)
終盤に向けどんどん謎が解けていき、実はお嬢様中原早苗の父親の三島雅夫が密輸の黒幕だとわかり、高品格から射殺されてしまうが自暴自棄になった中原早苗が自分でヨットを動かして泣きながら海に出ていってしまい、それを赤木が見送るという、疑問が残るラストであった。
しかしこの最後の中原早苗の表情がイイ!
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