(c)2019「ザ・ファブル」製作委員会 (c)松竹
今連載の漫画の中で一番面白いと感じている漫画「ザ・ファブル」。これを原作とした実写映画。予告編がそこそこ面白そうだったのでかなり期待して映画館まで見に行ってきたのだが・・自分の中でハードル上げすぎてしまったようだ・・漫画ありきで見に行った自分は「コレジャナイ」感が充満してしまった。「今回はやり方がまずかったようだ」これは安田顕が最後のほうで言うセリフである。
映画データ「ザ・ファブル」
「ザ・ファブル」製作委員会・配給:松竹・共同幹事:松竹、日本テレビ放送網
監督:江口カン
主な配役
主人公ファブル(佐藤アキラ)(偽名)/岡田准一
ファブルの偽妹(佐藤ヨウコ)(偽名)/木村文乃
ボス/佐藤浩市
真黒カンパニー社長(海老原)/安田顕
真黒カンパニー専務(砂川)/向井理
真黒カンパニー社員(黒塩)/井之脇海
真黒カンパニー会長(浜田)/光石研
(※組⇨カンパニーの自粛であろう)
出所直後の海老原の弟分(小島)/柳楽優弥
ファブルのバイト先社長/佐藤二朗
ファブルのバイト先の女子バイト(ミサキ)/山本美月
芸人(ジャッカル富岡)/宮川大輔
ヨウコに酔い潰される男(河合ユウキ)/藤森慎吾
砂川が雇ったこ○○やフード/福士蒼汰
砂川が雇ったこ○○やコード/木村了
映画館の実際の観覧人数:公開10日後で230席の埼玉のシネコンで土曜14:00の回で40~50人くらい。意外にも高齢の方多数。
内容レビュー
・出だしはよかった
出だし、漫画では中間でファブルの過去エピソードとして簡単にカット割りとして説明される2大組織の同時壊滅の模様が冒頭アクションとして映される。これはよかった。2大組織の宴会場に単身乗り込むファブル、ターゲットの急所から線がでて「頭」、「心臓」とかテロップが入り、番号が振られるテロップ。これはファブルの脳内行動を表したものだろう番号順に正確な狙撃でターゲットを倒していくファブル。ほぼ全部1撃ヘッドショットだ。アクションも切れがあり、わざとらしいところもない。カッコいい。
ファブルが去ったあと入ってくる二人組。別ルートで雇われたころしやのようだ。(フードとコート)。しかしこの二人ステレオタイプなイカれ演技をする。いわゆるヒャッハー系。いやいやこ○○やはあんなに目立っていいのか?漫画はもっと地味でチョイ役の感じがしたが・・ここで最初の「コレジャナイ」。(福士蒼汰が配役だから事務所から目立たせるように横槍が入ったのかな)
・アウトレイジのような演技
キャラ、俳優が出揃ったあたりでだんだん「コレジャナイ」感が強くなってくる。柳楽優弥、安田顕、山本美月とでたところで「あ、アオイホノオと同じ」(佐藤二朗含)と気づく。僕は漫画ファブルの中ではクロがわりと気に入ってたんで柳楽優弥はクロなんだろうなあと思ってたら厄介キャラのコジマだった。しかも無理にキレすぎ。安田顕の海老原もなんか違う。迫力作りすぎ。漫画はもっと自然だ、そこがいいのに。映画CMだと木村文乃が違うんじゃないかと思ってて本編見てみたら、やっぱり違う。そこはかとなく漂うおばさん臭。このメインキャストの二人アダルティー過ぎる。違う。
それから主演の岡田准一は悪いとは思わないが逆に存在感出過ぎてしまってどうも馴染めない。なぜか凄味を出してしゃべる。
とにかくや○ざ関連の役者がみんな力入れすぎな感。まさかアウトレイジ意識してないよね。漫画と映画でキャラの年齢がほぼ違っていた。あってのはイラスト広告会社の社員(山本美月含む)くらい。
クロが活躍しなさすぎ。最初にアキラがチンピラに絡まれるシーンになぜ原作通りクロを入れないのだ。
そして漫画で一番印象に残ってるシーン、「しょぼいケリは肘で刺す」が入ってないやないかーい。
・南勝久原作の漫画のいいところはリアル感だ。演出をオーバーにしすぎて空回り。
監督は本当に漫画のイメージとか”いいところ”というものをわかっているのだろうか。僕が最初に南勝久に感心したのは「ナニワトモアレ」でのケンカシーンが最初にスネの横蹴りから入っていくところ。代々受け継がれた中学の時のケンカのパターンと同じだった。とにかく妙にリアルなのです。出てくる人間は普段は普通の人間に見える。それも変なオーラ出すわけでなく、絵柄が堅実というのもあるんだけど普通の感じ。この感じわかるだろうか。
要はあまりに誇張しすぎてリアルさがなくなってる。
ファブルは普段は”普通”なのだそれがプロのこ○○屋になるのが凄味なのに映画ではこれでもかと超人アピールしてくる。本当のプロは見た目簡単そうに見えるのだ。簡単そうに、だけど結果はすごい。この微妙なさじ加減、この漫画の味が活かしきれてないのだ。
映画の見どころ
ここまで批判じみてしまって申し訳ないので見どころを書きます。
1.冒頭の宴会襲撃シーン
ほぼ正面から乗り込んで行ってワンショットワンキルで倒していくファブル。キレのあるアクション凄いです。でもあの立ち回りはあれでいいのかな。まあ乱戦になれば映えはするんですが伝説のプロにしては危なっかしいんですよねえ。乱戦になってしまって流れ玉にあたっても全然不思議じゃない。結局主人公補正で当たらない。感じ木村拓哉のヤマトと同じ。あの腕であの立ち回りなら納得だみたいにしてほしかった。その点漫画だと堅実な描きかたなのでファブルの無敵感が増している。
劇中使用してるのはコルトM1911のナイトホーク社カスタム銃だそうでサウンドサプレッサー付(正確には架空のカスタムモデルということのようです。)東京マルイあたりからモデルガン出せば売れると思うんですが。
↓のはスライド(ボディ)が黒いですが映画のものはこれの銀色のもの。
2.岡田准一師匠のビル登りシーン。
TVの宣伝番組で語っていたがファブルが砂川がコジマとミサキを人質にしているゴミ焼却施設に侵入するシーン、驚くほど早いスピードで建物間の隙間を上層へと登っていく。戸隠流忍術も習っていたのであろうか、スパイダーマンである。あれはどうやって撮ったんだろう。あまりにも早いし、あの高さで命綱も見えなかったんで実際はワイヤーで引っ張りつつ後からCGでワイヤー消したのかな。
とにかくなにも考えずに必見だ。
3.ゴミ焼却施設での戦い
映画CMで出てくる一対多数での乱戦の銃撃戦。序盤は凄い。が、後半もみくちゃになって上に逃げるとことかちょっとご都合になってしまったか。逆にコメディ色がでてしまっている。 このシーン敵のこ○○屋がアホすぎるし。あんなにバンバン乱射しちゃったら安く見えるんだよね。「ブラックホーク・ダウン」を見習ってほしい。ちなみに漫画だと場所はもっとショボイ普通のビルです。市の公共施設であるはずの焼却炉を専有できるものだろうか。
4.エンドクレジットの最後にワンシーンあります。
予告編ででていたシーンが出てこないなーと思っていたらエンドクレジットの最後にそこだけ挟んでありました。これもなんでこうしたのか?劇中に入れればよかったのに・・エンドクレジット最後までみることをおすすめ。
まとめ
「誰も殺さず、救えるか。世界基準アクション×ハッピーな笑い!!一撃でアガる、型破り救出ミッションエンターテイメント!」この宣伝文句から「コレジャナイ」感漂ってる。救出ミッションがメインじゃないよね。あと製作委員会の悪い部分で全員の要望汲み取っていたら違う方向へ行ってしまった感もある。
でも見に行って後悔は全然してません。話の流れとしては漫画の序盤のエピソード(コジマ編)のみの映画化であり、ストーリー自体の改変もほぼなく漫画通り。これから2,3と作れるだけの分量はあり、漫画ではこれから魅力的なキャラもでてきます。
そこで・・・
TVドラマとして再制作してほしい。話の分量も多いのでドラマ向きだと思う。最近アクションドラマ少ないのでぜひ。そのときはファブルを崇拝するクロをしっかり描いてほしい。堀北真希をヨウコ役に引っ張り出せないかな。
原作漫画はこちら↓
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