芦川いづみ-その人は遠く-佳人(映画レビュー)

映画 ドラマ
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その人は遠く 1963年10月 いづみ28才(白黒)

その人は遠く

芦川いづみ/細川奈津子 和泉雅子/井波恵以子 山内賢/岡田量介

映画出だし、父を亡くし独りになったいづみが遠い親戚の山内賢の家にやってくる。山内はなんでうちが預からないといけないのか?と文句いいつつも家の外に迎えに出たところ、いづみがその時ちょっと山内側につまづいて山内のほっぺにキスしてしまう。

山内は洗面所でキスマークがほっぺについてるのを確認して少しニヤけたあと顔をあらった。(なかなか演技がイイ)そして本作のいづみは明るく小悪魔チックだ。「おおーこの作品は他とは違うぞ!」と期待が高まる。山内の家に入ってからのいづみは山内と相思相愛になり、何くれとなく世話を焼く。(ここでなぜあんな文芸チックな題名をつけたんだろう?甘い同居人とかすこしエロを感じさせる題名にすれば客入りもちがうだろうにと思ったが後半は少し複雑になり文芸作品ぽくもなる。あーもったいない。小悪魔いづみを最後まで出して行けば後世に名作となっただろうに。)

しかし山内の態度がイライラする。まるで駄々っ子。いづみが世話焼いても「イらない」みたいにすねたり、なにが辛いって自分が辿った失敗人生をみてるようで辛かった。ああ言う時は素直に受け取って大袈裟に嬉しさと感謝を表して周りに自慢するくらいが正解なのだ。後になって後悔するのだ。

いづみも山内が自分を好きだとわかっていて自分も山内を好きでちょっかい出す割にはキスもなにも一切させないし、身体にも触れさせない。あれはたまったもんじゃないよなあ。途中1回いづみが結婚して大阪に行ったあと上手くいかなくて帰ってきて山内にうしろからにじり寄ったりするけどそれいじょうなし。

さらに山内の母親が交通事故で亡くなり(その縁で和泉雅子と仲良くなる)山内はアパート暮らしを始めるがそこに泊まったとき、山内が迫るもなにもさせず…

映画半分くらいで和泉雅子がでてきて山内を大好きになるも和泉雅子とのデート中にいづみの話題ばかり出して和泉雅子を怒らせてしまう。そりゃそうだ。僕の経験上も他の女の話題はご法度である。

和泉雅子は常にいづみにライバル心を燃やし、いづみから一緒に山内のところに行こうと言っても「遠慮します」といい、「あらそう」と笑顔でいづみも返し、恐るべし女の戦いが繰り広げられる。

みている方はいっそ山内といづみが結婚してほしいと思ったが最後はいづみが九州へ国語教師になるべく旅立ってしまった。

この映画気に入ったのでカラー化しております。

佳人 1958年2月 いづみ 22才

佳人

芦川いづみ/つぶら(子供時代:立石文栄) 葉山良二/しげる(子供時代:山口国男) 渡辺美佐子/時江(娘時代:笊畑美織) 金子信雄/太刀雄

いづみ(つぶら役)は金持ちの娘だが小児麻痺で下半身が動けなくてずっと座るか寝るかしかできない。葉山良二(しげる役)はいづみの幼馴染で子供の時は不自由なつぶらと毎日のように遊んだりお世話したりしていた。なので子供時代の描写が長く、映画の1/3を占める。いづみの母親はそうでもないのにいづみ自身は物凄く上品な喋り方をする。今まで見た日活作品のなかでも最高に上品な喋り方。何気に子役が素晴らしいのである。この子供時代があり、後半の悲劇感がマシマシになるのである。

ところで、この子供時代にしげるが6才くらい上に見える豆腐屋の娘の時江から「いい事しよう」と言われ、人のいない神社のなかでいけないことするシーンがある。(実際はすぐシーン切り替えになる)

正直このシーンだけでお腹いっぱいである。ああいう出来事がある人生に成りたかった。後に成長した時江(渡辺美佐子に役変)と再会するがいけないことは無かったかのように明るく再会していた…

途中から成長したいづみになるが葉山良二は東京の大学に行き、学徒出陣の前にいづみに会いにくる。

結局会えたのは1日だけでしげるはサイパンへと出征していった。しかしあの玉砕したサイパンの兵の中で奇跡的に生き残り終戦で見事生還した。(うまく捕虜になれたのであろうか?)

しかし悲しいかなしげるは戦死したと思われていてやっと故郷に戻っていづみに再会した日はいづみが金子信雄と結婚式を上げる日であった。

(父の宇野重吉や兄も次々と亡くなり、母といづみだけになり、金子信雄によって残った財産もいいように処分されていた。)まあとにかく松原智恵子の夕月みたいな感じでどんどんいづみの回りが凋落していくのだ。しかしなぜかいづみは金子信雄から貞操を守り通していた。(これもあまり現実的でない。途中でつぶらに初潮がやっと来たトの描写があるのに。性欲はゼロだったのかよほど金子信雄が嫌だったのか)

また東京の大学へ戻った葉山良二は新聞記者になったあと故郷へ戻って来たときにはちゃっかり東京で結婚してた…いづみに会いに行った時「東京で面倒見るよ」と言い、羽振りは良さそうだ。(昭和の新聞記者は残業200時間くらい付けるような感じで徹夜の連続でかなり儲かったらしい。僕の友人の父親も新聞記者でビル2棟買残していた…まあ激務過ぎて大変だったとの事だ)いずみは残念な顔ひとつせず葉山の結婚と子供の受胎を祝福した。

そして次の日、何度目だろう、またいづみのじ○つエンドで幕を閉じた。

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