祈る人 1959年2月 いづみ23才
芦川いづみ/三沢暁子
小高雄二/蓮池弘志
香月美奈子/白石ミツ
娯楽作というより文芸作品であった。なんかちょっと重い。父と母の関係、そして父から自分への態度から結婚を逡巡するいづみ。何回となく昔の回想シーンが入り、女学生の時も本人が演じており継ぎ目がシームレスのためにちょっと時空間の迷いがでそうだ。
今回はおとなしめの演技だが見るからにうざい見合い相手小高雄二にははっきりともう会いたくないと告げるいづみ。
あとこのいづみの家族、大学教授の親父が死んだにも関わらずまだ女中を使ってる。どれだけ遺産があったのだろう。まあ終戦直後の回想シーンででかい庭付きの家に住んでるのであの戦後の貧困期にあの家ってことは相当な金持ちなのだが。あと元はどこか知らないが親父と暮らした家を売って次に母親の元恋人金子信雄の紹介で永福町に家を買っている。いや埼玉に家を買うならわかる。永福町なんてブルジョア地域にまた家を買うとは、とはいえ昭和34年の永福町は道路はまだ土だ。
こういうのが懐かしいんだよな。ラストシーンいづみが結婚したのかと思いきや友達の兄の結婚式だった。遠景で花嫁うつして寄っていくと洋服姿のいづみがでてきていづみが結婚したのではないとわかるにくい演出。
今回近藤紘はいづみの友達の夫で勇気あふれる漁師として登場していた。(久しぶりの善人の役)
遭難した漁師仲間に助け船を出そうと意気込むところ。(助け船ってこういう語源だったのね。)
この物語ラスト近くの嵐のシーンでは東宝のオープニングのあの岩にザパーンと波がかかるその場所のシーンも入れ込んでいてにくい。犬吠埼の海だそうだ。
学生野郎と娘たち 1960年2月 いづみ24才
芦川いづみ/晃子
中原早苗/ノエミ
清水まゆみ/由枝
長門裕之/山本
清水将夫/長岡
学生野郎と娘たちという題名だが主に女子学生のほうに比重が置かれた描写。芦川いづみ、中原早苗、清水まゆみは私立芳上大学の学生寮に一緒に住んでいる。
今よりは学費は安いはずなのだがみんなアルバイトしていて自分で生活費をねん出している。いづみは身よりがなく、途中で現れる姉もだらしがなくて金貸してくれとか言われる状態。そんな中、学長が学生の尊敬を集める有名博士に変わるのだがこいつが理想論ばかりでしまいには学費4割アップとか言い出して逆に学生たちの反感を買う。
この映画の中では中原早苗の存在感がすごく大きくて主役のように動き回り、喋り捲る。中原早苗もいづみと同じ学生を好きだったがまったく気にされてなくていづみと張り合う。長門裕之はコメディ要員。岡田真澄は学生じゃなくてフリーでバイク屋を経営したり、イタリアへいったりしてる。(じつはこいつが一番いい身分だ)ほとんどの学生はけんけんがくがくしながらもまあ学生らしい葛藤の中での描写なのだがいづみのまわりだけシリアスな空気が流れていた。
最初クラブのバーテンとしてバイトしていたが学費アップによりしかたなくホステスに職種を変えるいづみ。
しかしバイト先のクラブの経営者のドラ息子に目をつけられたいづみ、他に経営してるホテルの会計係で高いバイト料でやとってやるとかなんとか言われてビルの一室に誘導されて鍵かけられて、(この鍵がなぜか部屋の内側からカギを使って締めるやつでカギもってないと外にでられなくなるいやらしいやつ。)そうやって閉じ込められた状態でいづみはレイプされてしまう。いつかの松原智恵子の時とちがってバシバシ叩かれていた。。
事後。。
このレイプした役(靖夫)の人は波多野憲です。覚えておこう。でもこの役者あんまりみかけないクレジットだ。
そして思いつめた表情で靖夫の元にまた訪れたいづみ、靖夫のほうはまったく罪の意識がなく「今親父から政略結婚進められてるけどしょうがないよな、お前とはよろしくやろう」なんて言われる。そしていづみはこいつの頭を置物で殴ってこ〇してそのままガス自〇をしてしまうのだった。
学生たちでいづみの葬儀をしているとき学長も焼香しにくるが学生たちは拒否。学長は辞任する。バッドエンドでした。。
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