しあわせはどこに １９５６年７月 いづみ２０才
芦川いづみ／橋爪淳子
葉山良二／松尾吾郎
宍戸錠／志村徹夫
堀恭子／亀井紀代子
アマゾンのサムネイルだけ見ると葉山良二といづみがヨットハーバーのようなところで初夏のさわやかな立ち姿のようでブルジョアの恋愛ストーリーかと思いきや、葉山は金持ち息子なのだがいづみはつらい境遇の娘役であった。父親は戦死、母親は空襲で亡くなったと聞かされて伯父の家で育った。高校へは行ったようだが両親がいないということで思ったように就職ができず、試験を受けた建設会社はラッキーなことに重役と親交がある人物（矢沢）の計らいで入社することができた。殿山泰司演じる伯父がハングレみたいなダメ親父でいづみを手籠めにしようとして鍋の汁を掛けられてやけどしたり、いかがわしい商売にいづみを売って前金までもらってしまうやつ。
就職した建設会社には秘書課に配属される。葉山良二（いい人）がいたもののまたしても体目当てのダークサイド宍戸錠（ほっぺ整形前）や意地悪な秘書先輩（堀恭子）らがいて厳しい社会人スタートとなる。
さっそくプレイボーイの宍戸錠（真ん中）から目を付けられるいづみ
矢沢とは時々さそわれて御馳走になる。矢沢は実は母を前に好きだったのだ（今も独身）そしてこの後コーヒー飲みかけで矢沢は席を立つ。日活は飲み物や食べ物の途中でどっかいってしまう展開が多くて気になる
いづみを売った伯父をおいかけて味方だった頼みの叔母はダンプにはねられて死に、死に際に実は母親は生きていると告げられる。ここで空襲の回想シーン。母はどさくさに憲兵に強姦されそうになって憲兵の銃で憲兵（高品格）を撃ち殺してしまい、監獄に入っていたのだった。（なぜ正当防衛にならないのか、そもそも空襲のドサクサなんだから逃げてしまえばわからないのでは？とかある。）そしてこの時のモデルガンが日活には珍しくリアルなのだ
南部１４年式か？いつものミニ拳銃ではなくリアル。小道具さんが凝り性だったのか予算が余っていたのか。
映画後半は葉山良二の下宿へ現場に泊まり込みになるい葉山と入れ違いで暮らさせてもらったり、母を探しにいくことがメインとなる。
葉山の実家から帰って来いと言われ一時帰郷する葉山を送るいづみ。この時の笑顔がこの映画一番いい顔だ。
葉山の実家は鳥取の材木屋で金持ちで母もその近くで働いていて葉山といづみで会いに行く。一度は母親ではないと突っぱねるも考え直してなぜか鳥取砂丘を葉山といづみを探して走る母。すぐ後のシーンで母は東京に戻ってくる。
ラストであわや殿山泰司一派に誘拐されて売られそうになるところを葉山と母が助けに入り結果的に母が刺され、殿山泰司一派は逃げ出すが、母は死にはせず矢沢に助けられてハッピーエンド的に終わる。
東京の孤独 1959年5月いづみ24才
芦川いづみ/大貫登世子（大貫哲也の妹）
小林旭／猿丸真二郎
宍戸錠／黒柳平介
大坂志郎／大貫哲也
清水まゆみ／小松梢
題名の孤独とは勝負の世界に生きるのは非情で孤独だという意味らしい。前半は旭と錠が巨人がモデルのディッパーズという球団に入る、入らないの話。デイッパーズ監督の大坂志郎とその妹いづみが旭を探しに行ったりということで話が進む。（ディッパーズの監督は大坂志郎で旭は大坂を尊敬している。）いづみはスチューワーデスの採用試験に合格してスチュワーデスになる。野球選手とスチュワーデスは当時の定番だ。（のちにアナウンサーが定番になるが）
何回か旭がいづみと会ったところで旭はいづみに惚れて好きですと告白。
いづみが九州まで旭を探しに行って実家の旭の部屋まで一緒にいくとそこには一足先に旭のバイト先のクラブのホステスやってる清水まゆみがいた。清水まゆみ」といづみが互いの存在に気付いた瞬間に微妙な空気になる（両者気まずい顔になる）のが面白い
中盤あたりでいやらしい新聞記者がブローカーになって旭の母親に50万円払って自分は中抜き150万円とって、半ば騙して旭をライバル球団のウエイブスに入れてしまう。こいつは最後までなんのお咎めもなかった。
旭と錠は新人賞取ったほうがいづみにプロポーズする賭けをしていづみも乗る。右端の清水まゆみがところどころいうセリフがなかなかツボにささった。
後半はいよいよ旭と錠が試合デビューしてシリーズ優勝、そしていづみを賭けて活躍する。今回は錠はどちらかと言うと嫌なやつとして描かれる（しかし汚い手を使うわけではない）。旭は新人投手として20勝以上を、上げて優勝。最後はいづみと砂浜で戯れるのであった。
この映画大坂志郎回と言ってもいいだろう。
コメント